なんでお前の頭の中ってマービットとブライトが一緒に暮らしてんの?っていう疑問をいい加減形にしようと思った二次創作。実際の話とはなんの関係もない妄想。
私の頭の中の後日談ですので、広い心でお願いします。
マービットはまだ出てきません。中の人に持続力が無いため短いものを小出しです。全部書いたらまとめたやつを上げ直したい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
-----------------------------------
それは、彼の死刑執行が失敗したという報告から始まった。
事務所の中は慌ただしい。今日は友人の命日になるはずの日だった。大衆の目の前で首を吊られる大悪党。それはそれで、事件の終幕として実に良い演出だったのに、どうやら彼は運よく生き延びてしまったらしい。迷惑な事に、首吊り台から降ろした後、大衆の目の前で息を吹き返したんだそうだ。
この地域ではまだ、とある文化が残ってる。『死刑が執行されたにも関わらず生きていた人間は、神の意思で生かされた者であり、その罪科はもう問われない』 少し前までは、英国全土に広がっていた法律だけど、そもそもはそんな事が無いから言われている事だったわけで。それなのに、今日大衆の前では、それが起こってしまったわけで。
そんなこんなで今事務所は大忙しだ。ボクらの捜査が間違っていなかったか、彼の罪状は正しいのか、彼をこれからどうするべきなのか。聞く事も決めるべき事も警察の方には山ほどあるようで、電話は鳴りやまず、資料を取りにニケさんが走り、ボルトさんとスマイリーさんはあの時の事を話し合い、所長は自分の机に紙を並べて警察に言うべき情報を整理している。
ボクはと言えば、さっき帰ってきたばかりでその様子を見ているだけ。どうしようかと佇むボクに、所長が目で電話に出てくれと合図を寄こしてくれた。仕事が回ってきた事に頷いて受話器を取ると、ろくに名乗られもせずに、向こうがひと段落したら資料や関係者を連れて、こちらまで来て欲しい。という依頼を早口に言われてしまった。この声は確か、警察の、ええっと…… 考えていたら、他にも情報が入ってきた。どうやら、彼は一旦牢屋に戻って処遇が決まるのを待ってるらしい。まぁ、あんな大衆の前にいつまでも置いておけないし、それはそうだろう。
切られた電話の音に少し耳をやられながら、所長にそのまま内容を伝えると「わかった」と言って、手早く荷物をまとめ始めた。その様子を見ながら「ボクも付いて行って良いですか?」と聞くのには、少しだけ勇気が必要で。
手を止め、こちらを向いた所長と目が合うと、つい視線を横に逸らしてしまう。何か言おうと所長が口を開いた瞬間「おまたせしましたぁーーーーー!!!」と両手に資料を抱えたニケさんがドアを開けて入ってきたものだから、所長は言葉を飲み込んで、ニケさんに「おつかれさん、その資料はそのまま貰っていこう。冷たい物でも飲んで少し休んでいるといい」と、資料を受け取って彼女を座らせながら言うだけになった。ボクがどうしようかとその様子を目で伺っていると、ため息と一緒に「勝手にしろ」とだけ聞こえた。